虐待について

精神科そのものの問題
統合失調症とその他疾患の問題
難治例の原因に関する問題
精神科は関係なくても社会に関係する問題
事件に発展しうる問題
逆に事件化されない多くの潜在的問題

これらすべてを考える上で虐待という話は避けて通れない話だと思われます。しかし精神疾患という視点で見た時、家族、医療者のほとんどに、患者が虐待を受けていたという認識が欠けているのは確かでしょう。逆にすべて虐待ですますのに無理があることも確かであり、患者の他罰的傾向と、親の虐待的行為とが複雑に絡み合っている、と考えるのが妥当なんだと思います。これらの結果生じるAC、PTSD、PDなどなどは非常に治りにくい。というか、そもそも医者が治せるものではないという表現のほうが正しいのではないでしょうか。私のところでもこれらの病名で良くなった人は一応いますが、私はほとんどたいしたことをしていないと思います。自分でうまく親子間の距離をとり、過去とうまく折り合いをつけた人が改善していくわけであって、良くなる人はいつも自分で悟ってくれます。その悟りを補助するためには、薬よりもコミュニティの存在が最も重要ではないでしょうか。

PTSD幻聴と統合失調症幻聴が異なるのは、多くの先哲が示してきたことですが、浸透していません。PTSD幻聴にメジャーを大量投与したり、下手に抗うつ薬を投与すると余計悪くなることがあります。セカンドオピニオンという存在はそれに一石を投じた活動だったと言い替えることもできるでしょう。この場合にメジャー投与するなら、CPは25から100くらでないと大体副作用に負けますし、スタビライザーが有用なケースもあるし、漢方が効いた人もいます。それでもその幻聴やFBは「薄れていく」というのが正しい表現で、消えるというのはあまり経験したことがありません。

データ的にみてみると、1990年に1000件ちょっとだった児童相談所への虐待相談対応件数は、2007年で40000件を超えています。しかしこれは顕在化したに過ぎません。実質はもっと数が多いでしょうし昔の数も相当多いでしょう。昔から折檻と呼ばれたような行為も、今の定義にあてはめれば虐待になりますから、それに関係した患者数というのは一体何万人になるのか想像がつきません。そういう事情を考えれば相談件数は増えても、実質数は社会的啓蒙により減っているのではないか?と思います。児童虐待の著書でもここは意見が割れています。
また虐待されてきた人がまた虐待を繰り返す。これはテレビでもよくいわれる輪廻ですが、どうも本当かな?と思います。というのは虐待されてきた患者さんで自分の子供を虐待している人が予想以上に少ないからです。まあ私にうそを言っているだけかもしれませんが・・・

児童虐待の法的定義によると、「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」の四つに分類されるとされます。もちろん「身体的虐待」「性的虐待」による精神疾患は存在するのですが、どちらかというと「ネグレクト」「心理的虐待」による精神疾患や症状というのは軽く考えられていることが多いようです。それはこのような行為が虐待でなく、普通である、皆やっているという思想が強いからではないでしょうか。また「身体的虐待」であれば証拠も残るし、世間的にも気付きやすいですが、「ネグレクト」などは周囲の人が気付くことなどなかなかありませんから、永続的に続けられることが多いです。それがため精神疾患に発展しやすいと考えることもできるかと思います。

ここで考えたいのがしつけと虐待の境目です。この議論はどこに行っても必ず出るので、今更ここで定義できるものでもありませんが、「虐待」という定義だけにあてはめれば、ほとんどの日本人が行っているしつけ行為が虐待にあたります。時には親子双方が了承し合う上での美的な話でさえ、定義的には虐待になります。しかし診察するうえでは、これらの親子や徒弟的な関係が生む了承的虐待類似行為が、疾患につながっていることはほとんどありません。どちらかというと真の意味での虐待、つまり親が自分の意思を押し付けたいがために、子供の将来や心性を重んじることなく、日常的に強制や暴力や放置を繰り返すものがほとんどです。その行為は非常に自己中心的であって、「しつけであって虐待ではない」という言葉は、その親にとってまさに言い訳でしかありません。もし殴られたとしてもそれが親の自己中心ではない時、子供は虐待だとは後々でも思わないもの。そういう意味で子供というのは賢い存在なんだと改めて感じますし、患者さんも幼少期をそう振り返ることが多いものです。

逆に真の虐待に曝されてきた場合、子供の親に対する憎しみは深いがゆえに、常軌を逸する妄想的部分が生じ、それが精神科によってさらに病気化されるという悪循環を繰り返してきました。しかしこの場合本来病気とすべきは親であって、診断されるのも投薬されるのも親であるべきなのに、親はそれだけは避けるべく(バレナイように)子供に対して優位的な行動をとる。これが難治例に一番多いことは間違いない事実です。親子連れのドクターショッピング患者で一番患者に拍手され、親に一番嫌がられる一言は、「親御さんも一緒に薬飲んでみたらどうですか?」です。もう一つは「じゃあ親御さんは何障害ですか?」です。これらの多くが団塊世代やその前後の親であって、二十代、三十代が患者。これは団塊前後世代の頑なさやアイデンテティーの強さと無関係ではないのでしょう。統計的にも誰か証明してくれると嬉しいのですが・・・


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No title

この問題で私は後者です。

何故ならば親の全てが悪くないのを知っています。
幻聴については経験していないので書けません。

成育歴については過去の事としか考えていなかった、アダルトチルドレンについては虐待のイメージしかなく調べもしなかったのですが、後に整理すればプッツリと切れた糸が繋がります。

ある同級生からこんな便利なのがあるよ。
それを両親に伝えますが家は家、他人は他人。
それもある程度は分かります。

同級生から『じゃあ私が言ってあげようか』
『いや、どうせ言っても無駄だから』
その後については言っても無駄、言わなくなりましたね。
自ら孤独へ、自暴自棄、自殺願望、意欲減退等。
自分自身を悪魔、カメレオンのように感じたり。

子供からすれば何故か?理由を知りたい。子供だから分からないもの?だから言わない?果たしてどうなのでしょうか?

親へあんたらみたいには絶対にならない。嫌なら別れればいいじゃないか。いつもより子供の反抗が強い。
ある方から『あなたは特別?人と違うように思いませんでしたか?』
そんなような質問に『いや特にそんな感じは、ただ何かが違っていた』
似ていても全てではない考え方という物差しの長さ、形の違い?
これが今となってはキーワードだったと私自身は感じています。

全てではないにしろ、分かってほしいという依存?
そしてこれは繰り返し。今でも変わることはないです。

私だけでなく父と母でも繰り返し。
父も頑固者、母も毎回繰り返しだからでしょうか『分かったわよ、悪かったわね』少しヒステリック?であり、心から悪かったと聞いているほうには伝わらない、伝わり難いのは毎度の事です。
薬だけでなくカウンセリングも効果があるのではないでしょうか?今となっては自分の人生を大切にしていってほしいと願います。

ただACは難しいでしょうね。
親が拒否すればそれで終わり、子供からすれば居場所がない。
これから先もっと親権問題をにしなければならないのか。どこまでできるのか。

毒になる親、その続編も読んでみたのですが対処法を知っているのは子供でしょうね。良くなっている人の中には知らず知らずのうちに対処しているからかと。

子供がこんな大人になりたくない。これを持っている限り繰り返す事はないと思いますよ。対処法を知らないとそうとも言えないのかなぁと思いますが経験していなければ何とも言えないです。

1人で生きていく、対処が難しい子供の頃は居場所が一番必要、大変でした。
親しい友人、知人のほうが何故理解があるのかにも苦しみましたし。

ACの主な特徴を見たのですが私は有る特徴と無い特徴があって混合しているようです。人それぞれなのかな。

今困ることもほとんど無いのですが、小学校2年頃から学校に行かなかったり、行っても授業中趣味の勉強、完全不登校であった中学の勉強を出されても当時も今も無理です。
他の病院で受けた漢字の意味を答えるテストで、辞書のような答えや難しい漢字の意味を答えるなんて無理ですよ。
疑問を感じます。

長い月日を纏めるのも大変、書く事や思いだす事で親を攻めているようにも感じてしまいますが、立ち止まってもしょうがないので。

経験?体験?は限られているので一例にしか当てはまらないでしょうけれども。

枝分かれ?にしてもどちらの活動も続けていってほしいです。良い所取りして。

No title

薬で経験や記憶は消すことはできない。
しかし、精神科医は、経験や記憶を病気だと診断して、薬で治そうとする。
病気でもないものに、無理矢理に薬を飲ますものだから、良くなるわけがない。
薬物性の精神病になって、そのまま人生を終えるだけだ。
親も精神科医も、それは病気が悪化したから、やむなしと納得する。
納得しないのは、患者本人だけ。ひっくり返すことは、極めて難しい。

No title

テレビ、パソコン、携帯。
人間関係が、どんどん、バーチャルになってしまい、おかしい人間がいっぱいでてきましたね。

昔、題名は忘れましたが、映画で、最終的にテレビをすてる映画がありましたが。

虐待とは関係ないコメントですが。

精神科ではテレビは無いほうがいいと思ってしまいます。

随分と原始的な発想ですけど。。。

まずきちんと先行研究を勉強されてはどうか

あなたが用いたPTSDという病名も児童虐待との関連もリフトンやハーマンという精神科医の研究の積み重ねの上に成立しているのです。あなたが自分で初めて考えているように思っている部分は先行研究で議論が積み重ねられているものが多いのだから、きちんと勉強することで無駄なエネルギーを使わないですむのでは。

医者でなくとも書ける内要

>親子双方が了承し合う上での美的な話
を具体的に出さなければこの記事は単なるエッセイですね。
詳しい定義、定義と矛盾点、個々のボーダーラインと心への侵略の問題くらいは触れて欲しかった。

<東洋医(内海 聡のHN)が心療内科、精神科の問題だけでなく医療界、社会、政治の問題点に斬り込むブログ>

副題が泣いています。斬り込め。

この記事の評価=30点(100点満点)
プロフィール

キチガイ医

Author:キチガイ医
平成25年4月よりTokyo DDCとNPO法人薬害研究センターを設立、平成28年1月からはうつ民のセレクトショップや無料メルマガもやってます(詳しくはリンクをご覧ください)。薬の減薬や断薬、支援施設運営や、執筆や啓蒙活動を通して、自分の素人的意見を発信していければと思います。当ブログはリンクフリーですが、リンクするときは一声おかけください。

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