緊急執筆 証人尋問を終えて

昨日遺族側の証人尋問に出廷してきた。現在は民事裁判だが新聞に発表されたように、今後刑事事件に発展すると思われる。昨日の証人尋問は公開のため(一人ジャーナリストがいらっしゃっていた)、個人名は控えるものの隠す必要はないため、問題点や精神医療側のふざけた論理を徹底的に叩いていきたい。と同時に医療裁判の難しさや理不尽さを改めて感じた次第である。

まずどんな内容かおさらいしてみると以下のような事案である。
<毎日新聞>
北見赤十字病院(北見市)で07年、統合失調症の治療中に心肺停止になり、9カ月後に死亡した道東の男性(当時38歳)の遺族が「医療過誤が原因」として、男性担当医2人を業務上過失致死容疑で、今月中に北見署に刑事告訴する。19日に道庁で会見した代理人の弁護士によると、男性は07年6月19日に入院。当時の研修医が指導医と共に向精神薬投与などの治療を続けていたが、副作用で呼吸障害を起こし同28日夜に心肺停止状態で発見された。蘇生したものの意識が戻らず、転院先の同市内の病院で08年3月18日に蘇生後脳症で死亡したという。弁護士は「一般的に過大と言われる量の6倍にあたる向精神薬を投与したのに、呼吸障害の症状を見落とすなど副作用への対処がなかった」と指摘している。同病院は「向精神薬の投与量も患者への対処も適切だった。医療過誤とは認識していない」と話している。遺族は09年7月、日本赤十字社と当時の研修医に損害賠償を求めて東京地裁で民事訴訟を起こし、係争中。

この患者はCP換算でいうと6000程度の投薬をされて10日で心肺停止に陥った。医師側は原因不明としており精神薬の影響ではないとしている。

詳しい問題は一回のブログでは書ききれないため、継続してあげていく。まず証人をやって難しいなと感じたのは、弁護士(特に相手の弁護士)に対して反論するのがダメだということである。基本的に証人は弁護士が聞いた質問に答えねばならないので、もしその質問が重箱の隅をつつくような質問だったり、そもそも答えが出ず絶対にこたえられない質問だったりした時に、返しようがない。証人尋問とは議論ではないのだということを改めて感じた次第だ。

さて一体このケースに関して被告医師や弁護側はどのような主張を展開したのか。簡単に述べると以下のようになるかと思う。
・そもそもこの投薬は多剤と呼ぶに当たらない。
・多剤だとしてもその治療は教科書に載っているし、昔から続けられている。
・その教科書に載った治療には危険性はないと書いてある。
・このケースの死因は不明で、精神薬の呼吸抑制や不整脈の可能性は0である。
・(このケースは悪性症候群を見逃しているが)このケースは悪性症候群ではない。
・我々の病院では、私(被告医師)一人でも何十人にもこの量を投与している。
・トロペロンとセレネースをセットで数アンプル投与するなどは当たり前である。
・精神薬はどれだけ投与しても呼吸抑制などきたさない
・(入院中無呼吸などが多数認められたが)それは呼吸抑制ではない。普通だという。
・(患者家族は眼球上転があったと言っているが)錐体外路症状などなかった。
・被告医師は一日に一行のカルテしか書いていない。
・被告医師は研修医であった。
・原告側が主張(死因は不整脈か呼吸抑制ではないかという主張)しているのは可能性でしかなく、証拠がない。
・もし呼吸抑制をきたすというならその確率を%で示さなければ意味がない。(蓋然性という言葉を使う)
・あんた(内海)は内科医なので精神科のことなどわかるはずがない。

などである。
知人のアリスパパも奥さんの件で裁判をしている。彼はCYPやアルブミン結合率や添付文書の活用で裁判は勝てると述べている。もちろんそれを応援したいのだが、これが通用するのは明確な血中濃度などの証拠が残っている時に限るのではないか、と今回の尋問を経て思った。

残念ながら被告医師や弁護士はCYPになどさらさら興味がない。というよりそれで危険性が高まっても添付文書に併用注意が書いてあっても、呼吸抑制の副作用が書いてあっても、例外は当然ありうるという発想なのである。この段階ですでに議論はかみ合わない。また証拠を提示せよという。ここが重要な問題だ。このケースでは診療がずさんすぎるため、カルテには一行しか記載がなく検査所見など載っていない、というか薬物血中濃度など測られていない。だからあなたの言っていることは可能性ではないですかという主張をする。無呼吸や意識障害があって看護記録にその事が書いてあっても、それを呼吸抑制とさえ認めないのだ。

これはどういうことかといえば、彼らはカルテに記載していないことやそもそも検査をしていないことを、逆利用しているということである。自分たちが医療的証拠を残していないので、何とでも後付け理論はつけようがあると思っているのだ。ここはアリスパパのケースとはだいぶ異なる。彼のケースでは不審死のため解剖が行われ、薬物濃度は測定済みで、中毒死であったこと自体は否定しようがないからだ。

また確率を出せという。これも違う医療裁判で聞いた話がある。ある医療裁判では精神科医の間違った治療により、統合失調症の人が犯罪を起こす確率が8割とか9割なければ、精神科医に罪はないといった主張をしている。治療が間違っているという事は問題にならないというのだ。そしてその論文を示せと必ず言う。いったいそんな論文があるだろうか。このケースでも同じである。多剤大量療法で呼吸抑制がどれくらいの割合で出るのか、もっと詳しくいえばCP6000だとどれくらいの割合で呼吸抑制が出るのか、分析した論文などこの世にはない。精神科医が自分の罪を暴露するような論文を書くはずもなかろう。

こんな不毛な議論が法廷では行われている。私は裁判の限界をひしひしと感じた。もちろん原告や弁護士さんには頑張っていただきたいし、多くの精神科医を裁判に引きずり出すべきだが、何よりも先ず彼らは社会的に制裁を受けねばならない。ひたすらそれを感じた一日だった。次もこのケースの問題点を洗い直していく。

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No title

これこそが精神医療の真骨頂ですね。

医療ですらないため、医療という土俵で戦おうとしてもかみ合わないのは当然です。

柔道の試合なのにいきなり武器を持って殴りかかり、それがルール違反であることを指摘されても「え?何が悪いの?みんなやってるんだけど・・・」と自覚すらない。そんな人達を相手にしているようですね

No title

とくに
<この投薬は多剤と呼ぶに当たらない。>とか、
<精神薬の呼吸抑制や不整脈の可能性は0である。>とか、
<トロペロンとセレネースをセットで数アンプル投与するなどは当たり前である。>とか、
<精神薬はどれだけ投与しても呼吸抑制などきたさない。>とか、
<一日に一行のカルテしか書いていない。>とかはすさまじいの一言。
名前をさらしたらだめなのかと思ってしまう。
刑事事件に発展すれば、容疑者として名前が出てくるのだろうか?
日本全国の精神病院が同様ということか?

No title

拡散する必要があります。

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No title

・このケースの死因は不明で、精神薬の呼吸抑制や不整脈の可能性は0である。

とありますが…
「死因は不明」であるのに、「精神薬の可能性は0」というのはおかしいですよね。
死因が不明であるならば、どんな可能性も分からないのが普通だと思いますが…

No title

これは本当にヒドいですね。精神科では患者を人間として扱う必要はないということでしょうね。

ところで、伊藤さんのSAPIOの記事がネットニュースで配信されましたが、さっそくバッシングがはじまりました。しかし、日本の精神医療が遅れているのは事実で、このような事例が実際におきているのです。人権を無視した治療がまかりとおってきた原因は、批判にさらされてこなかったからだと思います。

この裁判の内容は拡散する必要がありますね。

No title

>多剤だとしてもその治療は教科書に載っているし、
>昔から続けられている。

昔からいったい何人の罪無い人たちを薬漬けにし廃人とし、殺してきたのだろうか?
閉鎖病棟という格好の牢獄で、人の目が届かなくしておいてなおかつ、
報道されない(薬品会社はマスゴミの大手スポンサー)ことをいいことに
やりたい放題やってきましたね。こんなことがまかり通って良いはずがない。
東洋医先生達の血の滲むような努力の元、制裁を受ける日も近づいている。

証人尋問、お疲れ様でした。

多剤大量処方は、からだの中に何種類もの薬、つまり化学物質が入ることによりシャッフルされ、どんな毒物に変化してるかは、精神科医にも裁判官にも解らないはずです。

しかし、結果として心配停止に及べば処方量が大問題になる事は素人でも解ります。
これを論文で示せなんて馬鹿丸出しです。

科学的に合理的に示すには、その薬剤を混ぜたものがどんな物質に変化してどのように人体に影響があったかを示したほうが、より合理的ではないかと思って書き込みました。

マウスで実験しても良いんじゃないでしょうか。
薬はすべて毒ですから、毒をカクテルしたらどんな強毒性に変わるかを示せばよいと思います。

とは言っても、内海先生が医師会などが暴いてもらったら困るものを
暴けば、医師会を追い出される結果になっても、この裁判で立証できたらそれこそ精神医学の闇を突く大きな一歩だと思います。

この裁判で勝つことが出来たら新たな「轍」を作り、被害者の方たちを少なからず導けると思います。

そういう事になったら精神科医は全員逮捕になるから相手の弁護士と司法は黒光りした砦を盾にしているのです。

裁判は疲れます。
どうぞ、お体いたわりながら頑張って欲しいと思います。

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信じられないです。

私も精神科に入院してたことがありますが。健全な病院で幸いでした。
昨日発見した。この事件に驚愕しました。ここの病院の医師(精神科医)を知っています。サイエントロジーの批判を良く見ていたのですが、この事件の存在を知りませんでした。一件裁判になり公になったということは、公にならない人達も埋もれていると思うと、非常に恐ろしい事だと思いました。田舎町では、病院も沢山はないはずでその町に住む人々に危惧しています。

やり直します。

ひろさま、ありがとうございます。
わたくし迂闊で見落としていました。
…さて。
そやつら火のついた蟹ばさみでつまみ出しましょうか?
或いは食い倒れでドカンと行きますか。
倫🔴橋から落ちるのもいいですね(笑)
いつでも、あなたのお好きな復讐をお選びくださいませ。


               by注文の多い黒猫亭
プロフィール

キチガイ医

Author:キチガイ医
平成25年4月よりTokyo DDCとNPO法人薬害研究センターを設立、平成28年1月からはうつ民のセレクトショップや無料メルマガもやってます(詳しくはリンクをご覧ください)。薬の減薬や断薬、支援施設運営や、執筆や啓蒙活動を通して、自分の素人的意見を発信していければと思います。当ブログはリンクフリーですが、リンクするときは一声おかけください。

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