本を読んだ感想とのこと

ある医師が私の本を見て感想を送ってくれた。その感想が示唆に富んでいるので、本人の了解を得てここに書いてみたいと思う。全部載せるには量が多いし、私への褒め言葉などは削除したので、そのあたりはご理解の上読んでいただきたい。

内容に関しては高得点で意義はありません。精神科医療がこのままでは存続が疑問視されることを提言したことを加味して点数が上がります。精神科薬物療法は科学的でしょうか。科学的であるように見せかけるのは意外と簡単です。さらに社会がどのように精神疾患を規定するかで、精神や薬物療法や精神科治療は変化し、一見科学的に見えます。社会と精神薬理学はまるで生き物のように連動しています。しかし科学的真実は一つで、そこからかけ離れている現状の精神科薬物療法を指摘した点は意義があると思います。

精神薬理学が科学的にみえる現象は実に多いです。専門家ですらそのことに気がついていません。少し難しい表現を使えば「精神薬理の理論は物理化学法則に還元できなければその理論は不十分で怪しい。」と考えなければなりません。精神薬理学自体がかなり怪しい理論が横行しています。神経伝達の本来の機構は完全に解明されていないのに、アゴニストとアンタゴニスト概念が実験系だけで定義されています。だから矛盾が多くみられます。例えばSSRIの作用機序であるセロトニン再取り込み阻害作用が臨床での抗うつ効果にどのくらい影響しているかは、アゴニストの本来の特性を考えると疑問です。薬理実験でのSSRIの作用は実験系での範囲では認めますが、臨床でのうつに対する作用は理論的には疑問です。また抗精神病薬でいえば、非定型抗精神病薬の機序は3つ言われていますが、1つの現象を3つに分けて説明しなければならないのは本質的な解釈ではない可能性が高いです。いずれも物理化学的な法則に還元できません。

現状で精神薬理学の理論が怪しいとなると、一番確かなのは何でしょうか。それは目の前の現象です。患者さんが示す症状です。それを真摯に観察することが大切です。ですから患者さんを治療している立場として、本の内容に関しては手に取るように理解できました。だから多くの人たちに現状を知らせる意味で、この本を読んでほしいものです。個人的には意識が高い精神科医に一番読んでもらいたいです。そしてこの本に対する反論を臨床でしてほしいものです。精神科は不要であるとまで言われて、それに対して必要と言われる精神科医療を構築する努力です。

私自身制度に翻弄され、精神科病院への勤務もある意味「島流し」的なものでした。最初は精神科病院の不合理が目につきました。さまざまな法律での制限は人権を守るという名目ではあるのですが差別や隔離と紙一重です。精神科薬物療法に関しても科学的ではなく、また科学的な言い訳が横行する現実を見て、まるで中世の錬金術的な研究ではないかと感じたこともあります。精神科医療にはチーム医療の仮面をかぶった独裁性が根源にあります。このような現状で通常選択する方法は二つです。一つはそこから「逃げる」。一つはそこに「同化する」です。私はそのどちらも選択しませんでした。「我慢」という選択肢を作り出しました。精神科医療という枠のなかで、自分ができることを淡々とこなし、なおかつその文化に影響を与えないように、「我慢」することです。

さすがに何年も「我慢」しているとさまざまなことが見えてきました。それらに対峙するのではなく、一つの文化として眺めた時、このままでは精神科医療は不要になると危惧しています。内海先生の指摘と同じです。しかしさらに「我慢」しているとそれなりに知恵が出てきます。時に精神科での治療は武器が少ないので、まるで野戦病院と化し、医師としての力量を問われる場面が多々あります。そこで多いに成長できたような気もします。その中で自分にできることを行い続けることで、疑問がはっきりと見えてきます。「抗精神病薬とは何か」という実際的な疑問だけでなく、「精神や心とは何か」という本質的な疑問までです。我慢しているから見えてくるものがあります。この景色を多くの精神科医がみてほしいと思うこともあります。しかし多くの精神科医はそれさえ気がつかないのでしょう。精神薬理学の光と影が見え、前述したように、真実に近い学問は物理化学的に還元して説明できることが必要であると感じています。精神薬理の理論を無視するのではなく、いつも疑問に思う視点です。医師にとって真実は臨床ですから。

本書に対する真摯な意見が出ること、精神科医から新たな回答が出ることを期待しています。
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No title

よかったです。私は東洋医さんがお金儲けや、名誉を求めて過激な言動を繰り返しているのではないと確信しています。だから、もっと過激になってしまったら、同業者の真摯な意見が出なくなってしまうのでは?と心配です。私はお医者さんの意見がもっと聞きたいです。被害者やご遺族も、そう思う方は多いのではないでしょうか。

本当に悪質な精神科医はピンチをチャンスにするのではないでしょうか。自分はちゃっかり減薬と断薬の専門家となり、東洋医さんを「裸の王様」にしてやれと、内心シヤニヤしているような気がしてなりません。

No title

この日本に減薬を真剣に考える精神科医など存在するとは思えません。
薬剤性精神病(というのかわかりませんが)なのか、精神薬による禁断症状なのか、統合失調症なのか、精神薬の副作用なのか・・・区別さえつかないのが大多数なのでは・・・・?
毎日接しておかしいと思いながら今の今まで医師の言うことを鵜呑みにしてきてしまった。バカな親だと思います。
内海先生の本をインターネットに接する機会のない方々も手に取り被害者が減ることを願うのみです。

No title

>「精神や心とは何か」という本質的な疑問。

この本質的なところをホント考えて欲しい・・・。
わたしはその『こころとは何か』というところで【心脳問題】というものに突き当たりましたが
そんなこと誰も追及しない。
今では【心脳問題】も解決していないのに精神科だなんて馬鹿馬鹿しいってなひとまずの結論のもと
とにかく【こころ】を大切にしたいと思い
自分哲学なりそのこころを重要視した上で反精神医療問題を語っていくようになりました。
ただ本質を突き過ぎると精神医療問題から離れすぎて行ってしまい
精神医療がそこに絡んでいることを周囲に知らせるのが難しくもなり。
なんかその辺りを周囲に表現するのって難しいなと思いつつ
こころの話と精神医療問題を最近は扱うようになってきました。

本質に至るには数々の問題があって。
それってその数々の問題も知らないと本質に至れないのですが
これを説明するとなるとどんだけかかるかってなことになり・・・。

でも説明していきたくて実践中です。

No title

ある方が教えてくれました。これ、本気で放送するんですね。はっきり言っておきます。すさまじい大ウソです。科学的な根拠は全くありません​。発達障害自体が恣意的で人間だれにでも当てはまるように定義さ​れているのに、それを調べる検査なんてありえません。NHKと浜松医大は大ウソつき、これはもう科学に対する冒涜です。

http://www.j-cast.com/tv/2012/05/16132167.html

No title

ツイッター見ましたよ。
あんなに先生も発達障害の診断に熱心だったのにね。
今になっても、過去の事掘り返してはいけないと思うけど。

No title

まさに暗黒の医学に染まっていました。あの頃洗脳からとけたって意味を一体何人が理解していたことか・・・申し訳ないことです。唯一発達障害を勉強して役に立つのは、人の性格のパターンがいくつかわかってくることでしょうか?占いも発達障害の理屈も人を見る経験も、何一つ大差ないことがわかれば、発達障害などという虚妄に惑わされることはなくなるのですがね。一度発達障害を信じた人は、その正当化をやめることがない。それらが犯罪にくみしていることを知る由さえないのです。

No title

やくざ先生にも人としての良心があるなら、それでいいですよ。
rやその関係者だって罪の気持ちに苦しんで、あーなった訳だろうから。
それ以上の事は言わないよ。

No title

ここがかなり盛り上がってる様子・・・まさにヘビーメンヘラ―と家族と奴らの巣窟。誰か本気で精神医学に反対する人がいるなら援助してあげれば?私は真記さんの言うことに賛成だから。

http://ameblo.jp/cuckoo-nest/entry-11248508466.html

No title

しかし最近工作員が明らかに多い・・・このブログは承認性だからかあまり姿が見えないけど、陰ではとんでもないことになっているだろう。一般的なブログ内にさえどんどん入ってきている。大半の人はその見抜き方がわからないだろうが、一体このことをどうとらえるべきか・・・

HN『rat's』から『紙一重』に改正させて頂きました、どうでもいい私事ですが。 絶対に忘れてはならない事がある。 [医師資格]を取得すると言うの事は、ある意味「人の生死を左右する重責・ライセンスを持つ」という事です。 只でさえこの[特別資格]を持つと言うからには、一般人とは違い言い訳する等の甘えは許されない筈。「警官が自衛官が銃を持っているから、誰かれ構わずに撃つ・裁判官だから誰かれ構わず極刑にする」…のと変わりないと思う。 改めて今の精神科医療という分野をみて、その[資格]に値するものが微塵も見えないように思いますが。 だからこそ一切の自責もなく、見え見えの戯言を平然と投稿し続けているし、例え依存させ自分達を擁護する「未だ薬害に浸っている多くの患者達」すら次の矛先変えの為の繋ぎとして[使い捨て]に利用している。 今日も市内の[精神科病院]数軒を見て廻ったが、何処も同じような動きをみせていた。 「自分を他の精神科と一緒にするな」と言うのであれば、率先してそれら[使い捨て患者]を救いつつも現精神科医療の虚構を暴き出し、それらに追従し続けている医療従事者達を公に引きずり出してほしいです。 さもなくば「同じ穴のムジナ・未必の故意」と言われても仕方ないのではないか?如何なる理由があろうと、擁護的な書込みをする方々も…と思っております。長文失礼

浜松医大とか、ノリヲリモとかは、要注意ですよね。
「あの先生にかかれば、どんな人でも精神病にさせられちゃうよねー」というのは、風にのって流れてきた地元関係者からの噂。

前から彼らには注目していましたが、日本の精神医療最先端ですから。睡眠キャンペーンの発祥の地が、このあたりだということも無関係ではないでしょう。

浜松医大の中ではロボトミーと電気ショックを混ぜ合わせたような、深部電極刺激の研究も盛んなわけですよ。

科学への冒涜にとどまらず、人類全体への冒涜だと思います。

No title

>紙一重さんへ
へー。であなたは何をするんですか?医師絶対視がここまでの精神医療被害を生み出したわけですが、最近どこのブログを見ても患者責任論について書く人間が増えている。この事は良い兆候だが、そもそも責任論を書いたって本当の意味では価値がない。一応私だって全ての名前を出し、自分の狭い範囲でできることをやってきた。鈴井直子氏や中川聡氏も自らを明らかにして、巨悪に立ち向かう選択をし、実際に行動を重ねた。医師ではなくてもできる人間はできる。権力サイドやヘビーメンヘラーに批判を受けることもいとわなかった。市民人権擁護の会だってネットで名前を調べればすぐ出てくる。他の活動家も同じ。本気で行動している人たちにとって、自分を明らかにし、自分の行動倫理やスタンスを明らかにし、具体的な行動によってのみ証明しようとすることは当たり前のこと。

で、あなたは?

早々のお返事ありがとうございます

いち個人としてはコレと言った[人脈]がある訳ではありませんし、皆様方のような素晴らしい成果と言える物を示せる…とも思っておりません。 無力の今の私に出来ることとして…無駄な努力とは笑われるでしょうが、患者仲間やそのご家族方に疎まれ嫌われながらも諦めずシツコク語りかけております。 また目覚めていない患者を少しでも軽視させないようにしたいと、各病院を目障りに動き回っております。 他力本願と言われても仕方がないとも思いますが、出来得るそれぞれの力量差、政治家/報道/医師界それぞれの[モチはモチ屋]のフィールドもあると思います。 どの世界もそうだと思いますが、完璧な人間は居ないと思っております。 医療界も同様だと思います。 しかし医師方の皆さんが患者を助けんが為に必死にやった結果、死に至った・後遺症が残ってしまった…のであれば、その患者やご家族方には大変失礼で申し訳ありませんが、私はその医師・医療従事者を責める切ることは出来ません。 ですが[現精神科医療]とそれら医療に従事する者を認める気はありません。 この先どのような動きが出来るものか分かりませんが、自分なりの動きを模索し続けていくつもりです。 文章力が乏しく意味不明なコメントになり申し訳ございませんでした。

No title

精神医療を認めろと言っているのではありません。認めたくないなら認めなくていいです。しかしそのために各個人がなにをするかが重要です。これは紙一重さんだけの問題ではないでしょう。外で活動しやすい人もいれば、ネット上で縦横無人に走り回る人もいるでしょう。その全員が己の特徴を理解し活動しない限り、この世界の問題が解決に向かうことはありません。今の薬害被害者さんは泣きごとが多すぎると、私はよく怒っています。そして他力本願に陥るくらいなら、最初から減薬も断薬もせず精神科に食われてた方がましです。動物でさえ襲われそうになった時は火事場の馬鹿力が出ます。子供や奴隷でさえ追い詰められたときはすさまじい力を発揮します。それを当事者がひねり出せるのかどうか?出せなければ精神医学が勝つだけのこと。私はめでたく自己本位で医師を辞めるだけのことです。

東洋医さん ご指摘ご叱咤、本当にありがとうございました。

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No title

プッ。あまりにアホすぎて笑っちゃったよ。科学とか物質学とかそういう範疇で話してるんだよ?海外じゃ精神科医も心理学者も当たり前としてしゃべってんだよ?前エントリーの質問に答えてみな?人格攻撃しかできない口だけのメンヘラなんて要らないんだよ?全部自分の正体明かしてごらん?ぐうの音もでないくらいけちょんけちょんにしてあげるから♪

口だけのメンヘラ

何でも病気のせいにする人はたくさんいます。

半笑いです。

IPからの内訳で、3人くらいの常連、単発が2名、その他、といったところでしょう。
メンヘラはメンヘラでも、キモの座っていない連中ばかりだというか…。
ようやく、先生のいうところの「もう飽いた」境地に達することが出来ました(笑

精神医療に反旗を翻す、ってことの意味やそれに伴う行動など、ともかく勉強になる出来事でした。

鈴井直子氏は中川聡氏のブログにたびたび登場している方ですね。薬害シンポジウムで自らの被害体験を訴えた被害者のお一人です。報道特集で「私達の声を社会に届けて下さい」とおっしゃっていた方ですね。

実名で手記を発表したのが2009年。その後、中川氏とジャーナリストの伊藤氏をつないだのも鈴井氏です。ということは、SAPIOの連載のきっかけをつくったのは、鈴井氏ということになるのでしょうか。薬害シンポジウムまでの道のりが、険しいものであったことは、想像に難くありません。↓

私が必要なのは、心の専門家ではありません
http://medg.jp/mt/2009/12/-vol-418.html

君が居た跡
http://ameblo.jp/sting-n/entry-11140643882.html

6年目の命日、昼間に医療ジャーナリストの伊藤氏の取材を受けた。
それまでの5年間をまとめた手記を読んでくれたのだ。
それからの伊藤氏の活躍は、皆さんご存知のとおり。
その手記を書くことを奨めてくれたのは、『救児の人々』に登場する(していた)鈴井さんです。

No title

被害者なんだと気づくことができた人はとりあえずカルテとレセプトの開示をしておきましょう。

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プロフィール

キチガイ医

Author:キチガイ医
平成25年4月よりTokyo DDCとNPO法人薬害研究センターを設立、平成28年1月からはうつ民のセレクトショップや無料メルマガもやってます(詳しくはリンクをご覧ください)。薬の減薬や断薬、支援施設運営や、執筆や啓蒙活動を通して、自分の素人的意見を発信していければと思います。当ブログはリンクフリーですが、リンクするときは一声おかけください。

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